企画展 2F フンデルトワッサー展 楽園を求めて - 絵画から建築へ

1999.10.23 [土] - 12.12 [日]

フリーデンスライヒ・フンデルトワッサー(1928-2000)はグスタフ・クリムトやエゴン・シーレに続くウィーン出身の芸術家で、これまで日本にも度々紹介されています。
1950年代初頭に画家として出発したフンデルトワッサーは、はじめから独自の思想にもとづいて制作を行ってきました。西洋の近代合理主義への批判が込められたその思想は、自然がつくりだすものを見つめながら、自然と人間の調和をはかろうというものです。直線によって画一化されてしまう世界を拒絶し、自然の有機的形態や曲線を重視するフンデルトワッサーの造形観は、彼のこのような思想に由来しています。
また、ユダヤの家系に生まれ、親類をナチスの政策によって失ったフンデルトワッサーは、全体主義的な制度を徹底して否定し、あらゆる人間が主体性や個性を自由に発揮できる世界を唱えています。個人の自由な意志をなによりも大切にすべきだという強い理念が、フンデルトワッサーの芸術には一貫して流れています。
フンデルトワッサーは、自らの思想をはじめは絵画という手段で表現していました。しかしその思想が深まるにつれ、独自の芸術観や自然観を表明する宣言文を示したり、パフォーマンスを行うなど、様々な活動を展開しました。そして近年では、環境問題を意識した多彩な建築活動へと自らの関心を拡げています。現在、環境問題が地球規模で課題となり、我々は解決の方法を模索しています。こういったなかで、フンデルトワッサーの思想と実践は先駆をなすものであり、多くの示唆を与えてくれることでしょう。
この展覧会では、フンデルトワッサーが自らの思想をより完全に体現できる対象として長く憧れ、近年ようやく実現しつつある建築に焦点をあて、さらに絵画、素描、版画などを補いながら彼の創作世界の全貌を紹介します。また会期中、フンデルトワッサーが自らデザインした様々なオリジナル・グッズの販売も予定しています。

会期

1999.10.23 [土] - 12.12 [日]

休館日

月曜日、7月21日(金)

観覧料

一般840円(730円)、大高生630円(520円)
※( )内は20名以上の団体料金。
※中学生以下と65歳以上、障害者手帳をお持ちの方(付き添い1名を含む)はいずれも無料です。展覧会入場時に確認いたしますので

主催

埼玉県立近代美術館、日本経済新聞社

後援

オーストリア大使館

企画協力

ヨーラム・ハレル事務所、(株)まつもと

協力

ルフトハンザ・ドイツ航空

《フンデルトワッサー・ハウス》(ポスター)

《血の雨の降る家々》1961年

《ブルマウ温泉村建築模型》アルフレッド・シュミード製作 1993/95年